運搬も飼育もダメ?!外来生物ブラックバスとは
人気のブラックバス釣りですが、釣った後のバスは一体どうしたらいいのかご存知でしょうか。
一般的な魚と同じように調理して食べる?釣ったその場で、リリースする?
それとも、生きたまま持ち帰って飼育する?
ブラックバスは法律で取り扱いが制限されている魚です。
外来生物として名前はよく聞きますが、法律で管理するほどそんなに危険な魚なのでしょうか。
知っているようで知らない、ブラックバスに関して調べてみました。
外来生物ブラックバス
そもそも「ブラックバス」という魚は存在しません。
サンフィッシュ科ミクロプテルス属の一種もしくは全種をさした総称です。
「バス」と略されて呼ばれることもあります。
ブラックバスの原産国は北米です。
もともと日本には生息していない魚でした。
公害や乱獲などで生態系のバランスが崩れてしまった河川を改善しようと、釣っても楽しい食べても美味しい、その上養殖も容易な魚として、1925年に政府の許可の下はじめて日本に持ち込まれました。
その数、約90匹。最初は神奈川県の芦ノ湖に放流され、その後も、試験的に全国の池や湖に放流されていきます。
ところが、問題が発生します。
ブラックバスは肉食で、小さな魚から昆虫、エビ、カエル、小動物まで、動くものは何でも口に入れてしまいます。
ブラックバスのその強い肉食性から、日本に元々いた生き物たちは徐々に住む場所を奪われ、そして、敵のいなくなったブラックバスはどんどん繁殖していったのです。
生態系への影響が問題視され、1970年代には無許可の放流が禁止されます。
しかし、釣りブームなどの影響で、その後も人の手による放流が続き、ブラックバスの生息地はますます全国に広がっていったのです。
増えすぎてしまったブラックバスを害魚として、一斉駆除をする自治体もあります。
現在日本では、ブラックバスは「特定外来生物」に指定され、環境問題のひとつとして注目されています。
それだけではなく、外来種の中でも特に生態系に与える影響が大きいとして、国際自然保護連合によって「世界の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。
飼育もNG!法律で規制されているブラックバス
ブラックバスは、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」略して「外来生物法」で、生態系や、農業、水産業などに被害を及ぼす生物として飼育、運搬、輸入などが規制されています。
例えば、釣ったブラックバスを持ち帰ったり、家で飼育したりすると、法律違反です。
個人の場合懲役1年以下もしくは100万円以下の罰金、法人の場合5千万円以下の罰金が科せられます。
他の池や湖に逃がすだなんてもってのほか。
場合によっては、生態系に取り返しのつかないような事態を引きおこしかねません。
違反内容によっては、非常に重い罰則が科せられることもあるそうです。
あら?外来生物方で飼育、運搬を規制されているのでは、ブラックバス釣りをしている人たちは、釣ったブラックバスをどうしているのでしょうか。
外来生物法では、キャッチアンドリリースは規制の対象となりません。
釣ったら、その場ですぐ放すということです。
しかし、ブラックバスは特定外来生物のため積極的に捕獲するべきとして、リリースを禁止する県もあります。
例えば、琵琶湖ではブラックバスのリリースを禁止していますが、その代わりに釣った外来魚を回収するボックスやいけすが設置されています。
ブラックバス釣りをする場合は、リリースしても大丈夫かしっかりと調べてから行きましょう。
また、リリースが禁止されていて回収ボックスなどもない場合は、生きたまま持ち運ぶと法律違反となるため、その場で絞めて持ち帰り処分するという方法もあるようです。
ただ……この方法は釣り人たちの間でも、かわいそう、残酷などさまざまな意見があるようです。
食用としてのブラックバス
害魚として駆除されるブラックバスですが、食用としての利用が注目を集めています。
生臭いイメージがありますが、もともとアメリカでは、一般的に食されている魚です。
皮を剥がして調理すると、淡白な白身が美味しいそうです。
鯉や鰻と同じように、キレイな水に入れて泥抜きをすると臭みを軽減できるそうですが、日本では生きたままの持ち運びが禁止されているので、食用の場合はその場ですぐ絞めなければいけません。
うろこのぬめりを、たわしでしっかりと落とすと、臭さが軽減するそうです。
また、においが移らないように、まな板も作業のつどしっかり洗うことも重要です。
駆除のために捕獲されたブラックバスを調理し、学校給食やレストランで提供する県や自治体もあります。
ただ駆除するのではなく、ブラックバスを通して、池や湖の生態系や、外来種の問題を学ぶきっかけになりますね。
さいごに
悪者というイメージの強いブラックバスですが、今回調べてみてそのイメージが少し変わりました。
人の手によって遥々アメリカから持ち込まれ、増えすぎたから駆除される、だなんて全て人間の都合です。
ブラックバスだけでなく、アメリカザリガニやアライグマなど私たちの身近なところにいるさまざまな外来生物に関する問題も、ただ騒ぐのではなく、きちんとその原因やきっかけも知っておく必要があるのではないかなと感じました。
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