少年院にはどのくらいの期間入るの?どうやって決まるの?
少年院とは、簡単に言えば「非行を犯した少年少女を正しい道に導き、社会復帰ができるように更生・矯正する施設」です。
刑務所の「犯した罪を償う施設」とは位置づけが違います。
家庭裁判所で少年院送致と決定された場合、前科はつきません(警察や裁判所には記録が残ります)。
社会復帰を目的としているので、出院後履歴書に書くことを考慮したのでしょう、「学院」「学園」という名称の少年院が全国に20以上あります。
どのくらいの期間入れられるの?
収容期間(収容過程)には以下の種類があります。
区 分 | 名 称 | 期 間 | 家庭裁判所の処遇勧告 |
短期処遇 | 特修短期 | 4ヵ月以内 | 従う勧告 |
一般短期 | 6か月以内 | ||
長期処遇 | 比較的短期 | 10か月程度 | 尊重勧告 |
処遇勧告なし (あるいは「長期」) |
おおむね1年 | ||
比較的長期 | 1年~2年 | ||
相当長期 | 2年以上 |
期間の設定ですが、家庭裁判所がどの少年院に送致するかの指定とともに、「処遇勧告」をします。
このくらいの期間入院させてはどうか、というアドバイスをする訳です。
この処遇勧告が短期処遇(6か月以内)の場合、少年院はこれを守らなくてはいけません(「従う勧告」)。
長期処遇の中でも比較的短期の処遇勧告が出た場合は、少年院はそれを尊重はしますが、守る義務まではありません(「尊重勧告」)。
更に、長期処遇とは指定されても収容期間の勧告がない場合は「長期」とされ、大体1年収容されることになっています。
何をするとどのくらいの期間入るの?
これまでの判例で見ると、窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領などでは短期処遇(6か月程度以内)が半分程度、それ以外は長期処遇になっています。
これが殺人やわいせつ、強姦、住居侵入などになると長期が2/3ほどになります。
一般的に、初犯で比較的軽微な犯罪の場合は短期処遇、少年院収容の経験が何度かあり犯罪傾向が強い場合は1.5年以上、それ以外は12ヶ月以内というのが多いそうです。
ただし、刑務所の場合は「懲役〇年」と判決された場合は〇年間で出所できますが、少年院の場合、最初は〇ヶ月と設定されてもその後の生活態度に問題があり、犯罪的な傾向が充分矯正されていないと判定されると、退院不適当とされ家庭裁判所に延長を申請されてしまいます。
そうなると、4ヵ月以内の特修短期処遇以外は延長や再延長があるそうです。
少年院の入院から出院までの流れ
少年院は階級制制度を取っていて、成績が良ければ進級できる、というシステムになっています。
つまり、進級できないと出院もできないのです。

入院と同時に各人に個人目標が与えられます。
入院から出院までに総合目標が計3件、各級で3件ずつの段階別目標、更に院生全員が取り組む共通目標が5件あります。
この個人の段階別目標と共通目標計8件の努力や達成度で毎月成績がつけられ、成績が悪いと進級できません。
総合評価はAからEの5段階ですが、C以上が進級の条件です。ちなみに、Aを取れる少年はまず存在しないそうです。
最後の出院準備期間で毎月良い結果を出していると、更生保護委員会の委員による面接となります。
ここでようやく出院の日程が決められるのです。そして出院となります。
院内でいじめって本当にあるの?
これまでの期間に一番問題となるのが、いじめの問題です。
噂どおり、院内では頻繁にいじめがあるそうです。
真面目、おとなしい、あるいは万引きなどの軽い非行や逆に強姦などの重い性犯罪で収容された少年などがその対象になるといいます。
いじめが発覚すると進級できず出院が遅れますから目につくようないじめはあまりないそうですが、その分陰湿ないじめが横行しているようです。
その最たるものが週に1回程度ある集会の時におこなわれる、各少年への回りからの「指摘」「助言」です。
北朝鮮などで昔からやっているとされる「相互批判」のようなものですが、相手を「助言・指摘」の形を取って徹底的に非難するのです。
やっている少年たちにしてみたら単なるいじめのつもりでしょうが、これは非難された人の人格が破壊されるほどの威力を持っています。
集会には教官が在席するそうなのでそこまで行くことはないと思いますが、精神的にかなり傷つくことは確かです。
プライドだけで生きてきたような年頃の少年少女ですから、なおさらでしょう。
こういった事が新たな犯罪を引き起こす可能性をもっと追究した方が良い気がします。
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