少年院はどんな生活?意外な一面も…
「少年院」という言葉は知っていても、実際どんな制度で毎日どんな風に生活しているのか知識がある人はあまりいないと思います。
法的に言うと「家庭裁判所から保護処分として送致された者を収容するための施設(少年院法1条)」。
少年が健全な社会復帰ができるよう矯正教育を受けさせる所です。
教育には生活指導、義務教育程度の教科指導、職業補導や訓練があり、勤務するのは法務教官です。
少年院・児童自立支援施設・少年刑務所の違い
少年院と同様の「児童自立支援施設」という施設があります。
どちらに入るかは家庭裁判所が決定します。
違いは、規律のある生活を送らせた方が良いと判断されれば少年院に、家庭的な雰囲気が必要と判断されれば児童自立支援施設に送られるそうです。
更に「少年刑務所」というのが別にあり、これは懲役や禁固などの刑罰で実刑になった少年が入ります。刑事施設にあたり、一般の刑務所や拘置所と同じく刑務官と法務教官が勤務しています。
少年院はどんな種類があるの?
通常、12歳以上20歳未満の少年を収容しますが、26歳まで可能です。現在少年院は3つに区分が分けられています。
第1種少年院 (初等・中等) |
心身に著しい故障のない、概ね12歳~20歳未満の者 |
・窃盗・傷害・ひき逃げ・恐喝・強盗・強姦などの罪が多い | |
第2種少年院 (特別少年院) |
心身に著しい故障はないが、犯罪傾向が進んだ概ね16歳~23歳 未満の者(著しい性格の偏り、反社会的行動傾向が顕著など) |
・強盗傷害・致死、強姦致傷、傷害致死、殺人未遂などが多い ・過去少年院に収容された経験があったり暴力団に所属していると ここに入ることが多い |
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第3種少年院 (医療少年院) |
概ね12歳~26歳未満の心身に著しい故障がある者 |
一日をどのように過ごしているの?
施設によってカリキュラム内容が違います。
というのは、どういった矯正が最も適切か個人個人で違うので、各施設で独自のカリキュラムを組み、一番合うと思われる矯正教育をおこなっている所に送致しているからです。
一例として、ある経験者の1日はこんな感じだったそうです。
6:30 起床~点呼~掃除~読書
7:30 朝食
9:00 朝礼
9:15 教育活動(義務教育で必要な教科の勉強、職業訓練など)
12:00 昼食
13:00 教育活動(体育など)
17:00 夕食
18:00 集会・教養講話
19:00 自由時間(自己計画学習・日記作成・個人面談 など)
20:00 テレビ視聴
21:00 就寝
軍隊式の集団行動が基本です。
ヘアスタイルは原則として坊主。
トイレに入る時は「トイレ入ります!」と大声で声掛けをしないといけないとか、集団行動を乱すと収容期間が長くなるそうです。
院生同士の会話は禁止、これも違反すると出院が延びます。
「規律の厳しい学校のようなところ」とある経験者は感じたそうです。
規律が厳しく上(教官)に是非なく従う、という性質から、「体育会系」とも言われます。
実際、体育会系の少年の方がなじむのが早いと聞きます。
入浴は週2~3回程度。部屋は、通常は個室または4~5人の相部屋が多いそうです。
遠足、収穫祭や球技大会、文化祭などのイベント、社会見学などがある所もあるようです。
義務教育の習得が必要な場合は教科の勉強、社会に出る場合は職業指導や研修、資格取得のための教育などがおこなわれます。
通常の、ハローワークがおこなっている職業訓練でも3ヶ月程度の短期間のものがあることからもわかるように、高度な技術は無理でも現場で行かせる最低限の技術は身につくようです。
一例として、塗装の技術は3ヶ月もあれば充分現場で使い物になり、あとは個人のやる気とセンスなのだそうです。
少年院というのは国立の施設で、運営はすべて税金で賄われています。
本人の持ち出しになるのは手紙の切手代や資格試験の受験料くらいのもので、その他のものは下着から文房具、シャンプーなどの生活用品まですべて用意されています。
更に、(これも施設によって違うとは思いますが)食事の量がものすごく、1食分で1日過ごせるほどの量だとか。
そのため、大体の少年が出院時には10kgくらい太っているそうです。
ちなみに、少年院は男女別ですが、女子用の少年院は少ないため収容期間の長短を問わず1つの施設になっている事が多いです。
体験者によると男子少年院ほど規則が厳しくなく、髪の毛はそのままで良い、院生同士の会話も場所を選べば大丈夫、教官の接し方がとても優しいそうです(どこの女子少年院でもそうとは限りませんが)。
女子少年院の場合、男子に比べて非常に人間関係が難しいと言われており、配慮しているのかもしれません。
ただし、生理の日は入浴させてもらえず洗髪のみ、など女子ならではの辛い面もあるようです。
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