「お忙しいところ恐れ入りますが」を上手く使いこなそう!
社会に出た時最初にとまどうことの一つが、敬語の使い方ではないでしょうか。
接客業のアルバイトである程度知識はある、と思っている人もいるでしょうが、バイトと社員では相手の見る目が違います。
正直なところ、「学生=社会経験がない」と考えられているので、大目に見てもらっていた場合が多いのです。
「こちらのほうでよろしかったでしょうか」レストランなどで料理を運んで来た時に良く聞くフレーズですね。
これが間違った日本語であることはおわかりでしょうか。
「こちらの『ほう』」という表現は比較するものが複数あって、その中から一つ選んだ時に使う言葉です。
「A・Bとありますが、Aのほうですね?」というように使います。
「よろしかったでしょうか」英語でいう過去完了形の表現です。
過去におこなったことが正しかったのかどうか確認する時の言い方です。
「先程Aをお出ししてしまいましたが、それでよろしかったでしょうか? 本当はBをご希望ではございませんでしたか?」という気持ちの時に使うべきなのです。
年配の方が「最近の日本語は乱れている」と嘆くのをよく見聞きします。
言葉は生きているものですから、昔はあり得ない言い方でも、今は市民権を得ている言葉はたくさんあります。
ですが、ビジネスでは通用しない、非常識と思われているものもまた多くあるのです。
「お忙しいところ恐れ入りますが」という敬語は?
ビジネスにおいて一番大切なのは、相手への気遣いではないでしょうか。
誰でも、自分を気遣ってくれたり顔を立ててくれる人と仕事をしたいもの。
「お忙しいところ恐れ入りますが」はマジックフレーズです。
あなたを気遣っていますよ、あなたは有能な方だから、お仕事がたくさんあるでしょう、という意味が込められています。
短いながら、相手を気持ちよくさせる言葉なのです。
これをどんなところで使うと良いのでしょうか。
どんな場面で使うべき?
相手に何かお願いをする時の前置きとして使用します。
相手が本当に忙しいかどうかはわかりませんが、それを一言添えられて気分が悪くなる人はいないでしょう(とはいえ、相手が暇だということが誰にでもわかっている場合に使うと「それはイヤミか」と思われてしまう場合がないとは言えませんが)。
こういったマジックフレーズを使わずに単刀直入に用件を言ってしまうと、相手からは「自分の都合だけ押し付けている」と思われがちです。
A:では、先ほどの件、今週中にお願いします。
これでは「こっちの都合はどうなるんだ!」と反感を抱かれません。
結果、「こっちも忙しいんだよね。出来なかったよ」と金曜夜に言われてしまう可能性は大です。これを
A:お忙しいところ恐れ入りますが、先ほどの件、何とか月曜の朝までにお願いできませんでしょうか?
と言えば、他の仕事があってもやってやろうか、という気持ちになるものです。
企業で決定権を持っている人というのは、大体それなりの地位があり、いくつもの仕事を抱えているもの。
数ある業務を、頼まれた順番にこなしていく人はまずいません。
優先順位をつけ、自分の成果になり評価が上がるものや、興味があるものから先にしようとします。
その中で何とか少しでも優先的にやってもらうためには、相手の心を掴まなくてはいけません。
更に、先ほどの文例で「今週中」を「月曜の朝」に置き換えたことで、相手の気持ちの負担が軽くなるのがわかるでしょうか。
こういったちょっとした言葉の置き換えや表現方法の違いが、相手の気持ちを動かすのです。
他にも、忙しい人に配慮する言い回しはある?
「お忙しいところ恐れ入りますが」をビジネスレターにする場合、もう少しかしこまって「ご多忙のところ恐縮ですが」などと書くことが多いです。
この時、「ご多忙」ではなく「ご多用」と書くと更に気遣いができる、と思われるかもしれません。
「忙」という漢字は「亡」という字が含まれているため、見た目が良くないからという理由で「ご多用」を選ぶのです。
他には
「ご多忙中とは存じますが」
「ご足労をおかけし申し訳ございませんが」
「お手すきの時で結構ですので」
「ご面倒をおかけいたしますが」
「お時間がありましたら」
「お手間をとらせまして申し訳ございませんが」
「お忙しい所申し訳ございません」
こういった、言葉を和らげ雰囲気を良くする言葉を「クッション言葉」と言います。
「~していただけますか?」「お差し支えなければ」などもそうです。
大体定型化していますから、覚えてここぞという時に使えるようにしておきましょう。
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