春の七草ってどんな植物?
最近は食べない家も多いと聞きますが、「春の七草」や「七草粥」という言葉は誰でも聞いたことがあると思います。
お正月過ぎになるとスーパーで「七草粥セット」を販売していますから、まだまだ実際食べている人がいるということですね。
春の七草を何故食べるの?
春の七草は1月7日に、お正月料理で疲れた胃腸を休めるため、或いは冬でも生育している野の植物のパワーを貰って無病息災を願うために摂るもの、などととされています。
現在は1月7日に行われますが、元々は旧暦の1月7日、現代の2月頃にあたっていました。
2月のほうが寒いイメージがありますが、日本の月別気温を見ると、実際は北海道から沖縄まで全国で2月のほうが気温が高くなっているのがわかります。
降水量も2月のほうが多くなりますから、植物が芽を出し成長し出す季節なのですね。
その野生のパワーを自分の中に取り込もうとする発想の豊かさを昔の日本人は持っていたのです。
春の七草とは
「芹、なづな、御形、はくべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七草」(せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ)
1360年頃に書かれた「河海抄」(「源氏物語」の注釈書)に書かれた歌が元になっていると言われます。
この7種類の野草を刻んでかゆに入れ、邪気払いのおまじないとして食べます。
当時は作り方にも作法があり、前日の夜にまな板の上に置き、囃し歌を歌いながらしゃもじや包丁の背などで叩いて細かくし、当日の朝粥に入れたのだそうです。
①セリ

セリ科の多年草。北半球一帯とオーストラリアに分布しています。
水に強く、日本では水田や沼地、小川などに自生。夏には茎が伸び2メートル以上になるそうです。
外見が良く似た「ドクセリ(毒芹)」が5月頃伸び始めるため、「5月の芹は食べるな」という言い伝えがあります。
葉や茎には食欲増進作用があり、軽く茹でておひたしなどで食べます。根のキンピラも美味しいです。鍋物には必ず入れたい植物です。
②なずな

アブラナ科で、ペンペン草とも呼ばれます。日本中の道端など日当たりのよい所に生えます。
高血圧や肝臓病・下痢などに効果があります。また解熱や利尿効果もあるそうです。
若苗を茹でてお浸しや和え物に、また生のまま天ぷらにして食べます。
③ごぎょう

キク科で、母子草(ハハコグサ)とも呼ばれます。日本全土の日当たりのよい畑や道端などどこにでも生えています。
茎の先端に小さな黄色の花を多数つけます。若芽をゆでて水にさらしてヨモギのように草餅や草団子にします。
若芽を天ぷらにすることも行われています。全草を乾燥させたものは痰や咳止めに使われます。急性の扁 桃腺炎にも有効だそうです。
④はこべら

ナデシコ科で、ハコベの事です。
日の当たる野原から道端までよく見られます。
繁殖力が強く、暖かい所では冬でも花が咲きます。
若苗をゆでてお浸し、和え物や汁物にしたり、生のまま天ぷらにします。
漬物にもするそうです。昔から「血の道を司る」と言われ、産前産後に使われたそうです。ビタミンAが豊富です。
⑤ほとけのざ

キク科の越年草で、通常コオニタビラコ(小鬼田平子)と呼ばれます。
現在「ホトケノザ」と呼ばれているのはシソ科の全く別の植物です。
日本のほか朝鮮半島や中国に分布し、道端などどこにでも生えています。
花茎が伸びる前の若芽や若菜を茹でてから、苦味を抜くために数時間水にさらします。
和え物、お浸し、油炒めなどにします。
⑥すずな

アブラナ科で、カブ(蕪)のことです。カブナ、カブラナなどとも呼ばれます。
品種も多く、天王寺かぶ、金町小かぶ、長かぶなどがあります。普通食べられるのは根の部分で、栄養素は大根とほぼ同じと言われますが、大根より甘みが強いです。
繊維質が多く、便秘を解消してくれます。また、しもやけには根をすりおろして数回塗布すると良いそうです。
⑦すずしろ

大根のこと。アブラナ科の越年草です。
国によって色や形、サイズは多種多用ですが、日本では殆ど白い品種です。
世界一大きくて重い桜島大根、世界一長い守口大根など、日本で大変愛され改良されてきた野菜です。
下痢や消化不良にすぐれた効果があるとされています。春に白または薄紫色の花を咲かせます。
春の七草は上記の7つですが、七草粥となると気候の違いなどによって、地方や家庭で全く違うようです。
例えば東北地方ではごぼうやニンジンなどを使用したり、「けの汁」という根菜を沢山入れた汁物にしたり。
油揚げや鶏肉、里芋、お餅などを入れる所もあります。
また汁の味付けも塩ベースだったり醤油、味噌味など色々です。
「粥」といっても雑炊風だったりポタージュスープのように米粒がなくなるまで煮込んだり。
お雑煮は地域によって多種多様ですが、七草粥も負けないくらいバラエティに富んでいるようです。
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