耳たぶにしこり!粉瘤って怖い病気?似たような病気もある?
粉瘤(ふんりゅう)って聞いたことがありますか? 耳などにできるしこりの事です。
ピアスやイヤリングをしていない限り、自分の耳たぶに触ることってあまりありませんよね。
たまたま触ってしこりに気づく人が多いようです。
このしこり、何なのでしょうか。
粉瘤とは?
粉瘤は「アテローム/アテローマ」とも呼ばれる、表皮にできる良性の腫瘍(表皮嚢腫)です。耳たぶにできることが多いのですが、その他耳の後ろ、首の後ろ、脇、背中、お尻などにもできやすい、いわゆるおできです。
ほとんどの成人が体のどこかしらにあると言われています。
出来る原因ははっきりわかっていません。ある毛穴の部分が何度も刺激を受けたことにより、毛穴の上のほうの部分が中に潜り込み、袋状になったものだと考えられています。
その袋の中に、角質や皮脂がどんどん入り込むことによって腫瘍になったもので、どんどん大きくなって行きます。中央に黒い点の開口部があり、回りから強く押すとドロドロした臭いものが出てくることがあります。
また、一般には毛穴がある部分に起きる現象ですが、まれに毛のない部分、たとえば足の裏や手の平にもできることがあります。
これはケガをした時などに皮膚の一部が中に入り込んで袋状になったのではないか、と考えられています。
足の裏の場合、いつも体重がかかっているため外側に膨らむのではなく、皮膚の中で膨らみます。タコやウオノメに間違えられることが多いようです。
そのほか、特に年とともに目の回りに直径1~2ミリの小さく白いブツブツが出来ることがありますが、これも一種の粉瘤です。
耳たぶに粉瘤ができたらどうしたらいい?
この粉瘤はほとんど悪性化することはないのですが、ごくまれにガン化することがあります。そのため、病院で処置をしたほうが良いでしょう。たとえ自分の力で袋の中の老廃物すべてを出し切ったとしても、袋がある限りまた必ずそこに詰まって来てしまいます。
また、自分で老廃物を出すことは危険だとされています。回りのばい菌が入り込んで感染症になった場合、非常な痛みを伴います。
粉瘤が破裂することもあります。外側に向けて破裂するのなら良いのですが、体内で破裂すると腹膜炎や胸膜炎などを起こし、死亡するケースもあるのです。
病院で治療を受けると、初期の場合は抗生物質で治ります。かなり大きくなっており痛みを伴う場合は手術で取り除くことになります。この手術も、袋の中を掻き出すくりぬき法(へそ抜き法)と、袋ごと切除する方法があります。くりぬき法の場合、完全に掻き出せず再発することがあります。
どんな病気の可能性がある?
粉瘤に似た症状になるものがいくつかあります。①皮様嚢腫
生まれつきのもので、眉毛と上まぶたの間や頭皮にできます。粉瘤が固めなのに対し、この皮様嚢腫は柔らかいです。嚢腫が奥深くにあり、ほとんどの場合骨に癒着しています。そのため、手術は粉瘤より大手術となります。これも放置して大きくならないようであれば問題はありません。
②脂肪腫
一見、粉瘤と同じような形と大きさですが、脂肪腫は皮膚内の脂肪細胞が増殖したもので、中にあるのは脂肪の固まりです。悪性化することはまずありません。
③石灰化上皮腫(毛母腫)
子どもや若年者によく出来る、良性腫瘍です。顔・首・腕によくできますが、悪性化することはありません。触ると固く、ゴツゴツした感じがあります。
④側顎嚢腫・正中顎嚢腫・耳前瘻孔
側顎嚢腫は首の横、正中顎嚢腫は首中央の喉、耳前瘻孔は耳の前上に小さい穴があいています。生まれつきのもので、袋が奥深くまであります。害はないので放置しても問題はありませんが、面積が大きかったり臓器と癒着が見られる場合は手術で摘出します。
⑤ガングリオン
関節の周辺などに米粒大からピンポン玉大の腫瘍ができます。手の甲手首そばにできることが多いです。手首のガングリオン記事
潤滑油の役割を果たす滑液が関節の回りにあるのですが、それが溜まってできたものです。原因はわかっていませんが、若い女性に多いとされています。痛みなどがなければ放置してかまいません。
大きくなったり神経が圧迫されて痛みが出た時には、注射針で滑液を抜く治療をします。
皮膚に出来たふくらみのほとんどは、このように特に問題があるものではありません。でも素人判断は危険です。痛みを伴ったり赤く腫れあがった場合は、皮膚科で一度診てもらうようにしましょう。
背部粉瘤 手術 日本橋形成外科
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